悪夢の1日 その1

まさか昨日が悪夢のような1日になるなんて誰もが思わなかったはず。

ホーム開幕戦の明日を楽しみに朝から事務所で仕事を片付けてた。
年度末で役所に提出する書類等を部下の女の子に作成してもらいながら、他の書類に目を通しながらパソコンに向かってた。
いつもなら午後にちょっと出かけるのだがこの日は明日に仕事残したくないので1日デスクワークと決めていた。

お昼ご飯もそこそこに頑張ったので目処もたってコーヒータイムにしようかと思ってた2時45分過ぎ頃、グラリときた。事務所には俺と部下の女の子ふたりだけで他の社員は出かけていなかった。

耐震構造のビルの3階に事務所があるのだが免震のため、多少揺れが大きくなるのでまあいつもの揺れ程度かなと隣の部下の女の子Fさんと顔を合わせて苦笑い。
しかし次の瞬間これまで経験したことのない激しい揺れが襲ってきた。
彼女の顔からは笑顔が消えて引きつって脅えと恐怖の表情に変わるまでのわずかな時間も今思い出すとまるでスローモーションのように長い間の揺れに感じた。
ヤバい!これは尋常でないぞ!
しかし恐怖で足がすくんで身動きができない!

次の瞬間左側の間仕切り壁が倒れ天井まである収納棚が崩れ落ちてきた。そこにはもうひとり経理担当の女の子がいたが下敷きになってしまった!
「きゃあUさん!」
隣にいた女の子が悲鳴を上げたがその間も揺れは続いた。

やがて激しい揺れがおさまり、収納棚の下敷きになったUさんを呼んでみたら「大丈夫です」とか細い声が聞こえてきて…なんとか救い出そうと収納棚を持ち上げようとするがビクともしない!

どうしょう!?
「Uさん、どっちか横に動けない?」
と訊くと「窓側ならなんとか…」
窓側に収納棚とわずかな隙間しかないので収納棚をFさんとふたりで横に必死にずらしてなんとかUさんの手をつかんで引っ張り出した。

続く